ドル/円の長期予想 2013年→2017年は1995年→1999年型の円安トレンドか?

久々の更新となります。2012年は為替市場も大変思い出深い1年となりましたが、為替相場に向き合っていらっしゃる投機家、投資家の皆さんはいかがお過ごしでしょうか。

さて、2012年はドル/円は久々の年足陽線となり、いよいよ2011年のドル/円のボトムアウトが現実となり、円安トレンドへ移行しそうな形となってきてます。ボラティリティがこんなに上昇するのは久々だったので、もっと早くサイトの更新をしたかったのですが、昨年にサイトのデータベースの調整で躓いてしまい…、色々考えた末に、既存サイトはそのままに、2013年よりサイト名も新たに「欲望と幻想の為替市場」として、リニューアルすることになりました。

既存サイトの記事はサイドバーのカテゴリ1.0として、そのまま残してあります。

さて、前置きが長くなってしまいましたが、ドル円は2012年の年末から、2013年の年始にかけて急激な円安進行がみられました。(2012年の年足は年初の始値76.93から年末終値86.74という約10円の円安の大陽線!)

今回の円安は、過去を振り返ってみても、異例な点が多いのですが、筆者が重要であるポイントを抽出してみたところ、例えば、この記事を書いている2013年1月17日時点で

(1)9週連続の円安が進行中(なんと、1989年以来!)

(2)日米の短期も長期も含め金利差にほとんど変化は見られない(この点をベースに有識者の中には円安トレンドの継続性は疑わしいと判断している人もいます)

(3)日本だけでなく、アメリカも金融緩和を現在も続けている。

などなどがあります。

では、この3つの異例のポイントを見て、やっぱり今回の円安はどこか、おかしい、自民党の安倍総理大臣が語った「次元の違う金融政策」という期待感から醸成された一時的なものにすぎず、今回のドル円の急激な円安劇は、フェイク、つまり”だまし”と思われるでしょうか?

しかし、筆者は今回はそれらのポイントを含めて、今回の円安劇はフェイクではなく、円安トレンドに入っており、それも過去を振り返っても例外的な円安トレンドだった1995年~1999年型の円安トレンドだと予想します。

順番に見て行きたいと思います。

(1)連日の急騰・急落があるトレンドは、その先にさらなるトレンド強化が待っていることが多い。

例えば、近しいところで言えば、2007~2008年のリスク回避からの世界中の株式の連日の急落は、一時的なものでは収まらず、2009年の3月までの急落につながりました。また、その反対で、東証2部指数が2012年の春に記録的な連騰記録をつけた後、2012年の年末にはそのときにつけた高値を抜く勢いを見せました。

そういった例は例外はもちろんありますが、連騰や連日の急落の後には、それも記録的なものであれば、あるほど、それは後で振り返った時に「初動」であることが少なくありません。

もし、今回の記録的な円安劇がその先にある大きなうねりの初動であるとすると、90円は通過点、2013年内に100を超える円安となることでしょう。

以下は東証2部指数の直近1年のチャート(出典元 ゴールデンチャート)

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(2)日米の金利差がほとんど変わっていないことについてですが、2年ものなどとの利回りは別として、過去の米国10年債利回りと為替のトレンド転換の関係から、その兆候となるべき可能性を感じさせます。

下記は、米国10年国債の利回りですが、2012年の7月にボトムアウトした後、堅調に推移しています。もし、2012年の7月のボトムアウトが本物であれば、過去の例から類推すると、早ければ、6ヶ月後の2013年1月に円安トレンドへ移行する可能性があります。

以下はアメリカ10年国債利回りの直近のチャート(出典元 stockcharts.com)

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2012年7月のボトムアウトの補強材料として、バーナンキ議長も失業率とともに、最も懸念していたアメリカの住宅市場が上向いてきたことがあります。下記は、アメリカの住宅市場の状況を示すグラフですが、もし、これが順調に継続していけば、恐らく2012年7月の米国10年国債の利回りのボトムアウトが正当化されても全然おかしくありません。

アメリカの住宅市場を指数化したチャート、青色背景のところは景気後退期(出典元 calculatedrisk)

StartsNov2012

(3)日米ともに、大胆な金融緩和を依然として、行なっているので、ドル円の円安転換は俄には信じられないという方も少なくないかもしれません。筆者も通常の景気循環のサイクルで考えたときは、同様の見解ですが、今回の2012及び2013年から始まった円安トレンドは過去数十年の中でも1度だけあった例外的な1995~1999年までの円安トレンドの可能性があるかもしれないと考えています。

まず、通常の景気循環時におけるドル円とアメリカの金融政策及び景気循環との関係は、相関が高く、過去サイクル的な動きを見せることが多くありました。

しかしながら、過去数十年の中でも1995~1999年は例外的な円安トレンドが発生した時期で、そのときは、アメリカの金融政策とドル円の動きが上記のような、金融緩和や金融引締めとは相関していません。

では、何があったかと言いますと、1995年は、ドル円の大規模な協調介入が行われ、その後は、アメリカの好景気、高金利を背景に円安トレンドを続けました。

では、今回は?と言われますと、1995年の大規模介入に相当するのが、まさに「アベノミクス」になるかもしれません。つまり、大規模な財政出動と非伝統的な金融政策などです。そして、(2)でも触れましたが、アメリカの住宅市場の好転による景気の本格的な回復がそれを下支えする可能性があると考えます。

(まとめ)

では、それらを総合的に考えた時に、今度の円安トレンドはどこまで続きそうかとなると、アメリカが住宅市場、労働市場の改善に下支えする形で量的緩和、利上げへと出口戦略へと進む中、日本は対照的にここからさらに大規模な財政出動と非伝統的な金融政策を取ろうとしています。

まさに1995年を連想させる対照的な動きです。

では、今回の円安がいつまで続くかと言われますと、過去の例から類推すると、(アメリカで利上げが開始されると、どんなに長くても2~3年あまりでドル/円相場は円安から円高トレンドへ転換することが過去、確認されています。)、2015年に利上げが行われると仮定すると、そこからさらに2年の円安が続くことになり得ます。

つまり、2012年を起点として、2013年~2017年までは円安トレンドが継続するのではないかと考えられます。

下はアメリカの失業率の推移(出典元 calculatedrisk)

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下記はドル円の長期チャート(出典元 FRED® Economic Data)

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追記/2015/12/26

米ドル/円の為替相場を2016年から2018年までサイクル分析で予想!」の記事を別のサイトで書きました。